合は日本語訳を参考にしつつ原文をあたると読みやすいと思います。 (筆者も Diff を参考にしつつ読みました。)
5.3 9.1 ファイルシステムの階層構造
ファイルシステムの階層構造の解説です。ここでは、インストールされるファイルやディレクトリについての扱いについ
て解説しています。
5.3.1 9.1.1 ファイルシステム構造
Debian のファイル
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やディレクトリ配置は、 9 章以外で決められているポリシーと、この節で述べられる例外を除
き、 Filesystem Hierarchy Standard(FHS) バージョン 2.3 に従います。
1.「 ユーザー固有のアプリケーション設定ファイルをユーザーディレクトリに置く」というオプショナルルールは緩
和されました。設定ファイル名は「 .」 (ドット) から始めることを推奨 (ドットファイル) し、複数の設定ファイル
を作成する場合は、一つの「 .」 (ドット) から始まる名前のディレクトリを作成しその下に設定ファイルを作成しま
す。この場合の設定ファイルは「 .」から始めないことを推奨します。
2.「 amd64 の 64 ビットバイナリは/lib64 を使わなければいけない」という制限は廃止されました。
3.「 オブジェクトファイル、内部バイナリ、ライブラリ (libc.so.*を含む) は、/lib{,32} または/usr/lib{,32} 以下
に置く」という制限は改正され、/lib/triplet や/usr/lib/triplet に置くことも許可されました。 triplet は、イ
ンストールするパッケージのアーキテクチャで dpkg-architecture -qDEB HOST MULTIARCH
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が返す値で
す。パッケージは、パッケージアーキテクチャに適合しない triplet パスにファイルをインストールできません。
例えば Architecture: amd64 パッケージに 32 ビット x86 ライブラリが含まれている場合、それらのライブラリ
を/usr/lib/i386-linux-gnu
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にインストールできません。アプリケーションは/usr/lib/triplet 以下に一つサブ
ディレクトリを作成して使えます。実行時、リンカ/ローダー,ld*は、引き続き/lib または/lib64 以下の既存の場所
に置き、利用できることが必須になっています。これは ELF ABI の一部であるためです。
4. /usr/local/share/man と/usr/local/man を同じとみなす」という制限は推奨に緩和されました。
5.「 ウィンドウマネージャは system.*wmrc という一つの設定ファイルを持つこと」「 ウィンドウマネージャのサブ
ディレクトリ名はウィンドウマネージャと同じにしなければいけない」という制限は撤廃されました。
6.「 ブートマネージャの設定は/etc に置く、もしくはシムリンクを張る」という制限は推奨に緩和されました。
7. (追加) ルートファイルシステムに/run ディレクトリの追加が許可されました。/var/run が/run に、/var/lock
は/run/lock に置き換えられ、後方互換のため/var 以下のディレクトリはシムリンクに置き換えられました。/run
と/run/lock は、 FHS の/var/run、/var/lock の必要な要件のほかに、ファイル命名規則、ファイル形式の要件、
ブート時にファイルが消去されるといった要件、全てに従わなければいけません。/run にあるファイルおよびディ
レクトリは、テンポラリファイルシステムに保存されなければいけません。
8. ルートファイルシステムに/sys と/selinux ディレクトリを置くことが許可されました。
9. (追加) GNU Hurd システムにおいて、ルートファイルシステムに/hurd と/servers ディレクトリを追加すること
が許可されました。
FHS は debian-policy パッケージに同梱されているほか、 FHS の Web サイト
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で確認できます。
5.3.2 9.1.2 サイトごとのプログラム
通常、パッケージは FHS に従うため/usr/local にファイルを置いてはいけません。しかし、システム管理者にサイト固
有のファイルを置く場所を示すため空ディレクトリを作成することだけは許可されています。
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日本語訳版では、すべてのインストールされたファイル (all installed files) となっていますが、最新版では、すべてのファイル (all files) に改
められてます。
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日本語訳版では「 dpkg-architecture -qDEB HOST GNU TYPE」でしたが変更されています。
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7
日本語訳版では「 /usr/lib/i486-linux-gnu」でしたが変更されています。
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http://www.pathname.com/fhs/
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